医師の転科について

なぜ簡単に転科することができないのか?

 

 

転科が難しいケースにつて

 

現役で頑張っていらっしゃる医師の先生の約2割は転科を真剣に考えた経験があるとされています。「 隣の芝生は青い 」ではありま
せんが、「今いる診療科よりもあっちの科のほうが良さそうだし、自分にあっているのでは?」と考えてしまうようです。

 

 

転科されるケースで多いのは、外科系から内科系への転科で、逆はほとんど少ないです。これには理由があって、外科医は長時間
にわたる手術を行わなければならないわけですが、若いうちは何とかこなせても、ある年齢に達するときつくなります。

 

 

このため、ある程度のキャリアを積んでから将来のことを考えて転科します。内科の場合はメスを握って手術するために必要なスキル
を身につけるまでに最低でも2年はかかるわけですが、ゼロからスタートするのと同じなので、まず上手くいきません。

 

 

 

 

年齢の壁を超えられるかも大きな問題

 

また皮膚科のようなマイナー系の科から、メジャー系の科に転科するケースもほとんどありません。

 

 

年齢的にもネックとなります。卒後研修後2〜3年目であれば、年齢的にも若いので周囲の理解も得られやすいですが、5年以上
経過している場合は、専門医資格目前か専門医資格を有し、これから専門性をさらに高めていく過程にあります。

 

 

ですので、10年目に入ろうとしている医師の先生が、転科先での専門性を発揮するまでにはとてつもない時間がかかるので、医師
としての「成長」年限を越えてしまいます。ですので、転科が成功するケースというのは、ごく一部に限られているわけです。

 

 

 

 

内科系は無理せずそのままが一番

 

いくら必死に頑張って成長することをアピールしても周囲の理解は得られにくいです。また医師として体力的なことだけでなく、経済的
なことを考えても、40歳くらいまでには、ある程度の将来の見通しがなければ、ゼロから努力し続けることも難しいでしょう。

 

 

ですので、内科系であれば比較的自由度の高い科目でもあるので、転科せずにそのままの方が良いでしょう。

 

 

そうはいっても、美容外科医で信じられないくらい稼いでいる医師の先生の話は耳にしたら、どうしたって考えてしまいますよね。
人によっては桁が違うわけですから、同じ医師としてこうも差がついてしまうと考えずにはいられないようです。

 

 

 

 

それでも外科系に転科したいなら...

 

内科医の先生から転科について相談を受けることが少なくないわけですが、しかし「内科系の医師の先生がメスを握る姿を思い浮かべ
ることができません」というと皆さん黙ってしまいます。外科医としての技術の蓄積が限りなくゼロに近いわけですから、仕方ありません。

 

 

実際に内科医としての経験が長い先生が技術を学んでいくのは正直難しいと思います。仮に外科系出身者であっても、美容外科医
としてひとり立ちするまでには、担当手術を絞りこんだとしても2年、複数領域を考えるならば5年はかかってしまいます。

 

 

内科医以上に外科医は時間的なゆとりがありません。経済的なゆとりを削れば、ある程度は時間的に余裕が生まれます。

 

 

しかし、どちらにしても内科系からの外科系への転科は成功する保証はないので、どんなに頑張っても手術手技が未熟のままであれば
即解雇されてしまいますし、失敗すれば患者側から訴えられる訴訟リスクも高いので、十分注意しなければなりません。